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会の主な活動をご報告します


「御財印めぐり」事業
「御財印めぐり」とは、各地で大切に継承されてきた文化財などのデザイン を表象した「御財印」を集めてめぐり、その地域の人々とのふれあいや文化・ 歴史を楽しみながら未来につなげる応援の旅です。 (御財印の頒布による収益は文化財継承のために活用されます。) ※御財印の頒布につきましては場所によって異なります。事前に対象施設にご連絡の上お求めくださいませ。

御財印巡りの詳細:こちらをクリック
○歴史的建造物の情報は大阪文化財ナビで検索 https://osaka-bunkazainavi.org/

平成20年度文化庁委託事業「どないする?文化財の活用のあり方とかかるお金」

NPOによる文化財建造物活用モデル事業(平成20年度文化庁委託事業)「どないする?文化財の活用のあり方とかかるお金」を登録有形文化財である畑田家住宅(羽曳野市)、兒山家住宅(堺市)、山田家住宅(泉南市)、南川家住宅(貝塚市)、寺田家住宅(柏原市)、寺西家住宅(大阪市)を対象として、実施しました。成果の詳細はここをクリックしてご覧下さい。

平成21年度文化庁委託事業「学校教育における登録文化財の活用について」
NPOによる文化財建造物活用モデル事業(平成21年度文化庁委託事業)「学校教育における登録文化財の活用について」を登録有形文化財である畑田家住宅(羽曳野市)、小谷城郷土館(堺市)、兒山家住宅(堺市)、南川家住宅(貝塚市)、山田家住宅(泉南市)、寺西家住宅(大阪市)を対象として、実施しました。成果の詳細はここをクリックしてご覧下さい。

平成22年度文化庁委託事業「商業利用の登録文化物建造物の管理と社会的評価」
NPOによる文化財建造物活用モデル事業(平成22年度文化庁委託事業)「商業利用の登録文化物建造物の管理と社会的評価」を登録有形文化財である芝川ビル、生駒ビルヂング(生駒ビル)、新井ビル、青山ビル、伏見ビル、大阪ガスビル(ガスビル)、江戸堀コダマビル(コダマビル)、北浜レトロビル(北浜レトロ)、寺西家阿倍野長屋(寺西長屋)を対象として実施しました。成果の詳細はここをクリックしてご覧ください。


設立総会(平成17年9月4日(日)開催)

1、北浜界隈の登録文化財等の視察

 設立総会に先立ち、北浜界隈の文化財を、まず、自らの目で確かめようと、視察会が開催された。

最初は、明治36年に建てられた大商家の小西家住宅。大阪で最初の登録文化財でしたが、平成13年にそのほとんどが、国の重要文化財に指定された。高層ビルが建ち並ぶなか、黒い和風建築が、人目を引く。その内部は、床の間や違い棚のすばらしさ、障子・欄間なども良木ならではの繊細さ・優美さがあり、デザインは、現在の物より新鮮さを感ずるくらいである。

次に、昭和5年に建てられた生駒ビルディング。外観は、スクラッチタイル貼りで頂上に時計をいただき、そして窓を守るかのような鷲の彫刻が、往来の人々の目を楽しませる。アールデコ調のデザインで仕上げられた内部は、階段を昇る人たちの目を惹きつける。この訪れた人々を堪能させる建物も、一時は、入居者も少なく、建替えも考えられたということであった。

そこから、数分、大正14年に建てられた船場ビルディングに到着。外観は、当時の機能美の体裁を保っており、玄関は、馬車が入れるようにスロープになっている。4階まで吹き抜けのパティオとその周囲の廊下が、訪れる人に感動を与える。このビルも一時は入居者がなく、取り壊しの危機に直面したが、この建物は是非残したいという人々の熱意が危機を救ったという。廊下面のデザインの調和を話し合うなかでテナントの心が、通い合うようになり、その数も増えたという。屋上に新しく庭園を造るなど、ビルは今なお進化し続けている。

2、設立総会

 「大阪府登録文化財所有者の会」の設立総会は、大阪市中央区道修町の少彦名神社で開催された。参加者は、正会員(所有者)52名、特別会員9名、計61名であった。

(1)設立準備会の経過報告
所有者全員に対するアンケートによる所有者の会の設立や登録文化財の活用と問題点などについての意見を集約して、設立趣意書、規約を作成し設立総会にいたるまでの準備の状況(準備会9回開催)が報告された。

(2)設立趣意書
登録文化財の登録件数が全国一の大阪で、所有者の会を設立するに際し、「歴史遺産を大切にすることは、資源を節約する心の育成や啓発につながり、まちづくりにおいては、伝統文化の継承・発展による歴史と文化が、生きづく元気な大阪の再生、さらには、市民との交流や観光振興にも十分貢献できる」ことを謳ったものである。全文はトップページ参照のこと。

(3)議案の承認
議長に設立準備会世話人代表の畑田耕一氏が選出され、議案1号の規約、議案2号の役員(会の目的と組織のページ参照)、議案3号の今年度の活動計画、ならびに、当会が、全国近代化遺産活用連絡協議会に加入することについて全会一致で承認された。

会長就任挨拶

大阪府登録文化財所有者の会の会長を仰せつかりました畑田耕一でございます。

 先ほどからお話が出ておりますように、大阪府は登録有形文化財ならびにその所有者の数が全国一であります。そのような状況の下大阪府文化財保護課の林義久さんから大阪で所有者の会を作ってはどうかとのご提案があり、冒頭で寺西興一事務局長が報告いたしましたように、世話人一同協議を重ねて本日ここ、登録文化財の少彦名神社さんの社務所をお借りして、設立総会を開催するに到ったわけでございます。浅学非才の身でございますが、役員はじめ皆様方のご協力を得て職務を全うしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それではあらためて、大阪府登録文化財所有者の会を代表して、お忙しいところを本日の設立総会にご出席下さいました文化庁文化財部参事官 江面 嗣人様、大阪府文化財保護課長 丹上 務様、大阪市文化財保護課長 横田 徹三様はじめご来賓・関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。また、今日ご参集いただきました登録文化財所有者の皆様方、これからもよろしくご支援ご協力をお願いしたいと思います。

 文化財保護法の目的は、文化財を単に保存するだけではなく、これに新しい文化を付け加えて、それを発信することにより日本国民の文化的資質の向上と世界の文化の深化に貢献することであります。とても文化財所有者個人の資金や努力だけで出来ることではありません。この会の目的は、会員同士が先ず仲良くなって、文化財を中心にいろいろな情報を交換し合い、文化財保護法の目的に沿って所有する文化財を美しく生き続けさせる方策を探ることです。それを、文化財の所有者だけでなく、一般市民の方も一緒になって考えていただける環境作りが大切と考えます。それと、この会を全国的な規模のものに発展させたいという希望もあるわけですが、当面、あまり肩に力を入れずに、ゆっくりと活動していきたいと思っております。皆様方のご支援、ご協力よろしくお願い申し上げます。

 少し話が変わりますが、今年はアインシュタインの特殊相対性理論の発表から100年目になります。彼が1922年(大正11年)に日本に一ヶ月余り滞在して帰国する際に、朝日新聞に、「滞在中特に感じたことは、地球上にもまだ日本国民のごとく謙譲にして且つ実篤の国民が存在していることを自覚した点である。」また、「日本の山水草木は美しく、日本家屋も自然に叶い独特の価値があるので、日本国民が欧州感染をしないように希望する。」という謝辞と希望を寄せたということです(朝日新聞2005.4.16朝刊)。アインシュタインは日本全体を世界の文化財と感じ、それを伝承する日本国民にエールを送ったのだと思います。彼の思いに応えることが、私共の会の目標になるのかなとおもいます。もう一度皆様方のご支援・ご協力をお願いして、ご挨拶といたします。有難うございました。

会を終わるに当たり次の方々から祝辞を頂き、当会が、行政とも協力しあって日本文化の育成・発展の一翼を担わせていただくことを、誓い合いました。祝辞を頂いたこれらのご来賓に心より感謝申し上げます。

文化庁 文化財部参事官 登録文化財部門担当 江面 嗣人 氏
大阪府 教育委員会事務局 文化財保護課長  丹上 努  氏
大阪市 教育委員会事務局 文化財保護課長  横田 徹三 氏
 
3、設立記念講演
来賓として参加していただいた文化庁文化財部参事官付き主任文化財調査官・江面嗣人氏に「登録文化財とまちづくりについて」と題してご講演をいただきました。内容の要旨は次の通りです。

日本の歴史的建造物は日本人の空間的価値観と文化性を具現化したものであり,換言すれば,日本人の心と精神性を形として表現したものであり、日本人のアイデンティティーを形成してきたものということもできる。したがって、歴史的建造物という空間を失えば日本人の文化性に基づく精神性を形成する貴重な機会を失うことにもなり、日本人の文化的向上に支障をきたすということにもなる。いま、文化財建造物の保存・活用を、その社会的・歴史的意義を考慮しつつ推進していくことが求められている所以である。

文化財の保存・活用の活動を通して文化財に接し、文化財の価値や多様性を考える機会を得、各人が日本文化を理解しこれを深化させることが、現在及び今後の国際社会にあって重要である。そのような理解と深化は、文化財という枠組みを超えて、日常世界から国際社会の持続可能な発展に必要な、文化的であること、すなわち、自らの理解と隣人の大切さの理解という価値意識へとつながっていくものと考えられる。また、そのような活動によって日本国民は独自の新たな創造的な価値観の形成が可能となり、新たな文化創造への明確な意識を培うことが出来ると考える。

登録有形文化財の特徴の一つは、たくさんの一般の人々が関わる多大な可能性をもっていることである。この点については指定文化財に勝るとも劣るものではない。登録有形文化財を中心としたまちづくりも可能である。本物である歴史的建造物の存在は、まちにとって二つとつくれない個性以外の何者でもない。いまほど、個性あるまちづくりが望まれている時代もない。また、登録有形文化財は歴史的町並みを形成し、それは観光の対象にもなる。これまでのように観光に文化財が利用されるのではなく、文化財の理解という意味で、文化財が観光をおおいに利用すべきである。そこでの観光客と市民の文化的情報交換と交流、相互理解は、観光を、国民の文化的向上につながる社会教育のレベルに高め得る可能性ももっている。今日、まちづくりも観光も地域における明確なビジョンをもって進めるべきである。

今後の日本にとって、一般市民の中に広く分布し保存・活用されている登録有形文化財の可能性、その役割が如何に重要かをご理解いただき、所有者の会として、共にその可能性を追求していただければ幸いである。


4、設立祝賀懇親会
設立総会の後、祝賀懇親会が、場所をレストラン・カラブローネに移し、開催されました。懇親会には、30名が参加、会のこれからについて率直な意見が交換されました。そして、この会設立の火付け役である大阪府文化財保護課の林義久氏がの「文化が東京に一極集中するといわれるなか、歴史都市大阪で、全国で初めて本格的な登録文化財所有者の会が、発足したことは、大阪のまちづくりに貢献できる面が多いこと、そして、この火を、全国に広げ、この会の目的である世界人類の幸福に貢献できるものにしていただきたい。」との期待のことばで会を締めくくりました。

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